Trip to Seregno, Italsilva
duomo
Spring has come
そうだ!シルヴァさんに会おう!と思い付いて飛んで行ったミラノはもう春でした。
私がミラノの土を踏むのは実に26年ぶり。初めての外国への旅でした。ローマから鉄道で繋いで北へ北へと旅して行きました。今回は娘のうーも一緒です。
初めて行ったときから大好きな国、イタリア。その理由は都市国家だった歴史のせいで田舎の良さと街の良さが近いところにあるから。都市の周囲数十キロがその街のための畑で、この国なら身土不二も地消地産も無理無くできそうです。そしてその特産物や地方色に誇りを持っているところも大好き。
26年前と変わらないものが大半。この国では宗教画と同じ空、畑が連綿と続いている。人は途切れなく生き次いでいると感じることができます。

Change should be by people
生まれ育った東京というひとつの街。それが、たまたま大都会でもあったため、私の育った街は激しく変わってしまいました。
街は人と人の暮らしが形成していくものでありたい。それなのに行政や資本という大きな力が無理矢理流れを変えて行く。人が必死にそれに沿わせて行く街が今の東京です。街の歴史にはフタがされてしまったように。
30階建ての高層アパートがいくつもできて、地階がスーパーマーケット。おつきあいのあった昔からのお米屋さんは「知らない人ばかりが街を歩いてるよ。」とため息をつく。
ちょうど私の時間は木造の洋館などの古くて素敵な建物が取り壊されて、醜くなっていく街を惜しみつつ見暮らしてきた。戦争前の優雅な建築物を知らない世代には素敵な街かもしれない。でも、幾らか知っている私にとってはもはや便利以上の良さはない、と思うようになって茅ヶ崎に引っ越したのが4年前。変わるものと変えないものを上手に共存させている都市に来ると、生まれ育った東京という街の向かう方向を危ぶんでしまうのは懐かし病なのかな?
milano
logoSoap Flake, It seemed fresh
Italsilvaという会社を知ったのは、6年位前。
フィレンツェの高級スーパーにフレーク状のせっけんが売っていました。あまりのかわいらしさと、未だにフレーク状のせっけんを相変わらず製造し続けている、その姿勢に魅了されてしまいました。その時以来、洗濯用のせっけんや酸素系の漂白剤などの輸入が始まりました。
Grandfather sowed, sons and grandsons raises
Italsilva社はミラノから北へ電車で約30分。郊外のセレーニョという街にあります。代表のシルヴァさんのおじいさまが1908年に始めた小さなせっけん工場がその始まり。セレーニョはその当時からせっけんの街でした。
戦後それまでのせっけん作りに加えて合成の洗剤の製造や原材料の製造が始まりました。伝統の良さに現代の技術を加えて、洗浄力と環境への配慮を両立させるのがポリシー。
近年、その上に最新の皮膚科学研究を生かすという新しい目的を加えて新製品が開発されてきています。
seregno
towerSimbol of Tradition
左の画像は粉せっけんを作るタワー。この工場では粉と固形のせっけんを製造しています。飾られたロゴのうち、私が一目惚れしたSpuma di Sciampagnaはシャンパンの泡という意味のイタリア語ですが、1930年に作られたアールデコの影響の強いもの。左の社名のロゴはもっと古いものです。
ロゴを大切にしてくださいね、という私に「変えませんよ。」とシルヴァさん。イタリアの人はrenovation(改新、刷新)ということばも作業も大好きで、17世紀の建物の中は最新の水道設備だったりします。しかし、大切にするものに対する姿勢がきちんとしているのも素敵です。
便利は人々のためでなければ意味がない。そして人々のためには「美」も「伝統」も重要なことです。

Food! It's education
さて、今回とっても印象深かったのは、実はせっけんのことではありません。一緒にお昼を食べた時の話。日本の市場性の話から話題はスローライフ、そしてその発端はイタリアのスローフード運動だったと話題は移る。
「日本人はイタリアの人にスローフードへのイメージを持っていますよ。」と私が話すとシルヴァさんも担当者のサラさんも『?』の表情。「イタリア人だって今はランチに家に帰る人はいませんよ。奥さんも働いてるよ。」とのこと。(26年前に来た時は、まだみんな昼にお家に帰っていたけど。)「うん、でも食というのは教育のひとつだという考え方があってね、最近の日本に。」と私。そのリアクションが素敵だった。
このおふたりはここ10数年の日本で見かけるマクロビオティック信奉の方でも、自然食主義でもないけれど、揃って「そりゃもちろん。」というのです。その当然のような表情を見たときに、私は何だかとても信頼できる気持ちを持ったのです。
bucato
soap
What is worthy for you?
そもそもがサポネリアのお客さまのひとりが熱望してくださったこの会社の化粧せっけん。たったひとりの遠い日本のお客さまの声をシルヴァさんが大切に私に繋いでくれました。そして、私がお断りした理由をその方も理解して待ってくださった。その方の情熱が実って5月に発売になる。おまけに洗浄力に優れているのに生分解性のいいブカート・ランドリー・リキッドを教えてくれてタイミングよくサポネリアの軸となる商品になりました。
この一連のストーリーを思う時、私が小さく感動するのは、登場人物が誰ひとり、誰のどんな気持ちも粗末にしなかったということなのです。小さな種を育てることのできる、この会社の優れた製品を時間をかけてじっくり日本という畑で育てて行こう、行けると実感しました。
2007年4月

ブラウザのボタンで閉じてください